「ECサイトの分析方法がわからない」「ECサイトを分析するときにはどの指標を見ればいいの?」などの悩みを持つEC事業担当者もいるはず。ECサイトの分析を行う際には、押さえておくべき大切なポイントがあります。本記事では、ECサイトの分析方法を徹底解説。ECサイト分析で確認すべき主な指標や無料で使用できる分析ツールなど詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。ECサイト分析で確認すべき主な指標ECサイト分析に活用できる指標には、数多くの種類があります。ここでは、なかでも確認すべき主な指標を紹介します。売上高売上高は商品を販売することで得られた売上総額のことで、ECサイトの利益向上を目指すときに重要な指標です。売上高は、以下3通りの数式で算出できます。訪問者数×コンバージョン率(CVR)×顧客単価購入件数×顧客単価(購入単価)顧客数×購入頻度×顧客単価(購入単価)売上高を構成する要素を押さえておくことで、どの部分の対策を考えるべきかがわかりやすくなります。利益率利益率は、売上高に対する利益の割合を指す指標です。利益率は、以下の数式で算出できます。利益率=(売上-経費)÷売上経費には、商品の原価やECサイトの管理ツール利用料、決済手数料、広告宣伝費・販促費、人件費などが含まれます。売上が増加しても利益率が低いと、大きな利益は見込めません。そのため、売上高とあわせて利益率も必ず確認しましょう。アクセス数アクセス数とは、一定期間内にECサイトを訪問した人数を表す指標です。セッション数・ユニークユーザー数・ページビュー数(PV数)の3通りの計測方法があります。セッション数一定期間内に1人のユーザーが複数回サイトを訪問した場合、すべての回数をカウントするユニークユーザー数一定期間内に1人のユーザーが複数回サイトを訪問した場合、1人とカウントするページビュー数(PV数)Webページごとに1回とカウントするアクセス数が増えるほど、売上向上を期待できます。しかし、ターゲットに合っていないユーザーのアクセスはコンバージョンにつながりにくい傾向があります。アクセス数の数値だけを見るのではなく、商品に対する興味・関心の高いユーザーの割合が多いかどうかの確認が重要です。CVRCVRはコンバージョン率のことで、ECサイトを訪問したユーザーのうち購入に至った人の割合を示す指標です。CVRは、以下の数式で算出できます。CVR=購入者数÷アクセス数アクセス数が増えればCVRが向上する可能性は高いですが、アクセス数の向上だけに力を入れてもCVRが低いケースも少なくありません。購入数を左右する要因には、サイトの使いやすさ・商品ページの品質や訴求内容などが挙げられます。CVRが低いときには、原因を特定して必要な対策を講じましょう。離脱率ECサイトを訪問したユーザーのなかで、購入せずに離脱した割合を示す指標です。離脱率は、以下の数式で算出できます。離脱率=ページの離脱数÷ページビュー数×100離脱率は各ページごとに示されるため、どのページで離脱するユーザーが多いのかを把握できます。離脱率の高いページを改善すれば、より多くのページを閲覧してもらえるようになるため購入率の向上が期待できます。直帰率直帰率は、ECサイトを訪問したユーザーが最初のページのみ閲覧して離脱した割合を示す指標です。以下の数式で、算出できます。直帰率=1ページのみのセッション数÷全セッション数直帰率が高いページは、売上につながる可能性が非常に低いとされています。直帰率が低い部分を改善すれば、売上が大きく増加する可能性も。そのため、ECサイト分析において直帰率は重要な指標です。ROIROIは投資利益率のことで、広告費から利益を得られた割合を示す指標です。以下の数式で、算出できます。ROI=広告経由の利益÷広告費×100ROIを分析すれば、広告単体での費用対効果を把握できます。ROASROASとは、広告費のうちどのくらい売上が上がったかを示す指標です。ROASは、以下の数式で算出できます。ROAS=広告経由の売上÷広告費×100ROASが高ければ、広告効果が高いと判断できます。トラフィックソーストラフィックソースは、どのチャネルからどの程度のアクセスを獲得できているのかを示す指標です。検索エンジン・SNS・Web広告・メールなど、各チャネルがどのくらいアクセス獲得につながっているのかを判断するのに役立ちます。顧客獲得単価(CAC)顧客獲得単価は、新規顧客の獲得にかかる平均単価です。マーケティング活動・販促活動などの費用を新規顧客数で割ることで、顧客獲得単価を算出できます。顧客獲得単価を割り出せば、新規顧客の獲得にどの程度の費用がかかるのか把握できます。顧客単価顧客単価は、顧客1人あたりの平均購入単価を示す指標です。顧客単価は、以下の数式で算出できます。顧客単価=売上高÷購入人数顧客単価の大きさは、売上を直接的に左右する重要な指標です。顧客単価が低い場合には、アップセルやクロスセルなどの施策を講じるのが一般的です。リピート率リピート率は、商品を購入した顧客のうち再購入に至る顧客の割合のこと。リピート率が上昇すれば、売上も利益率も高まります。リピート率が低い場合には、クーポン発行やキャンペーン開催などリピート獲得につながる施策を講じることが大切です。顧客生涯価値(LTV)顧客生涯価値(LTV)とは、1人の顧客が生涯にわたってもたらす利益を示す指標です。LTV向上には自社商品を繰り返し購入する顧客を増やしたり、購入単価を高めたりする必要があります。LTVの高い顧客を分析する際には、どのような特徴があるか把握して似たような顧客が増える施策を講じるとよいでしょう。ECサイトの分析方法ECサイトの分析は、以下の手順で行います。目的を明確にする課題解決に必要な仮説を立てる仮説検証に必要なデータを収集する分析ツールなどを用いて分析する上記の手順について、順に詳しく解説します。目的を明確にするECサイトを分析するときには、まずECサイトで達成したい目的を明確にしましょう。「カゴ落ち率を改善したい」「顧客単価を高めたい」など具体的な目的を立てることで、分析を効率よく進めやすくなります。サイト分析の目的があいまいな場合、どのデータ分析に注力すべきかがわからず改善までに時間がかかってしまいます。サイト分析に取り組む前に、まずは目的や課題を明確にしましょう。課題解決に必要な仮説を立てる続いて、以下のように課題解決に必要な仮説を立てます。カゴ落ち率を改善したい→購入までのステップがわかりづらいのでは?顧客単価が低い→商品詳細ページの訴求が悪いのでは? など上記のように仮説を立てることで、どのデータをどのように分析すればいいか絞り込むことができます。仮説はできる限り多く出すのがおすすめです。洗い出した仮説のなかで、確度の高いものから検証を開始しましょう。仮説検証に必要なデータを収集する取り組む仮説検証が決まったら、必要なデータ収集に移ります。カゴ落ち率の改善ならページごとのカゴ落ち率、商品詳細ページの訴求が気になる場合は商品詳細ごとのUU数やコンバージョン数など、必要なデータを明確にして収集しましょう。分析ツールなどを用いて分析するデータが揃ったら、分析を開始します。単体データのみで考えるのではなく、データを複合させて比較しながら分析を行います。分析ツールも上手に活用しながら最適な改善策を見い出し、実際にサイトを改善していきましょう。ECサイトを分析して改善するときのポイントECサイトを分析して改善するときには、押さえておくべきポイントがあります。ここからは、ECサイトの分析・改善を行う際に大切なポイントを解説します。高い効果が見込める部分から改善するサイトを改善するときには、高い効果を見込める部分から改善策を実施していくことが大切です。高い効果が見込める部分から改善することで、早期の売上拡大を期待できるからです。仮に多く見られている商品とそうでない商品がある場合、現段階で閲覧数の多い商品のCVR改善に向けた分析と対策から注力するということです。サイトを改善するときにはより高い効果が見込める部分はどこか考え、優先順位をつけて対応しましょう。比較する視点を大事にするデータ分析の基本は「比較」です。目標値・平均値、期間、商品別での比較をすることで、現状がよいのか悪いのか判断できます。単一のデータだけで判断するのではなく、いくつかのデータと比較して分析する視点を忘れないようにしましょう。改善と効果検証を繰り返し行うECサイトは一度の分析・改善では、理想の形を実現するのがなかなか難しいとされています。分析データをもとにした改善策を実施したあとは、仮説通りの成果を得られているのか効果測定を行いましょう。仮説通りの結果が出ていない場合、ほかに問題があることになります。再度データを分析し直し、新たな改善策を講じましょう。改善と効果検証を繰り返し行っていくことで、理想的なECサイト運営に近づけられます。ECサイト分析に便利なツールここからは、ECサイト分析に便利なツールを紹介します。GoogleアナリティクスGoogleアナリティクスは、Googleが提供しているアクセス解析ツールです。サイトの訪問者数・PV数・閲覧デバイス・流入経路・CVRなど、幅広い計測データを無料で確認できます。GoogleサーチコンソールGoogleサーチコンソールは、Googleが提供している分析ツールです。Googleサーチコンソールでは、平均掲載順位(検索順位)・ページの表示回数・クリック率・検索クエリなどを確認できます。そのため、本ツールを利用すればECサイトがGoogle検索でどのようなパフォーマンスを発揮しているかがわかります。Google検索での掲載順位を上げて流入数を増やしたい場合には、とくにおすすめのツールです。ミエルカヒートマップミカエルカヒートマップは、ページ改善からコンバージョンの最大化までワンストップでサポートしてくれるツールです。ヒートマップ・ABテスト機能・競合広告分析・ポップアップなど、サイトの分析・仮説・検証・実装の全プロセスに必要な機能が搭載されています。AIが改善施策を自動で提案してくれる「ヒートマップ自動解析」もあり、課題に対する改善策を立てる作業を効率化できます。まとめECサイトの分析方法は、以下の通りです。目的を明確にする課題解決に必要な仮説を立てる仮説検証に必要なデータを収集する分析ツールなどを用いて分析するサイトの目的を明確に決め、顧客獲得単価やリピート率など目的達成に必要なデータを収集しましょう。改善するときには、高い効果が見込める部分から改善します。一度の分析・改善では目的を達成するのは難しいケースが多いため、改善と効果検証は繰り返し行うことが大切です。Googleアナリティクスやミエルカヒートマップなどサイト分析の効率化につながるツールも用いながら、理想的なECサイトの実現を目指しましょう。